ゆき化粧・秋野菜・星月まふゆの日記

小説が好きな星月まふゆとイラストを描く秋野菜と暇なゆき化粧の1人3役ブログです。

『青くて痛くて脆い』━━星月まふゆの所感

こんにちは、星月まふゆです。

 

何度目かも知れませんが、新学期の季節が近づいていますね。春から進学する方、進級する方、はたまた社会人になる方、おめでとうございます。

 

そして忘れてはならないのが、春は新しい出会いだけでなく、別れの季節でもあると言うことです。学生の終わり、10代の終わり、そして青春の終わりの季節、春。私は住野よるさんの新作『青くて痛くて脆い』を手に取りました。

 

本日は読了した感想をお届けしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

 

 

 

※以下、『青くて痛くて脆い』の感想になります。配慮はしていますが、ネタバレを少しでも気にされる方はご注意ください

 

 

 

 

『青くて痛くて脆い』はこんな本でした

 

青くて痛くて脆い

青くて痛くて脆い

 

青春が終わる。傷つきながら。傷つけながら。

 

人に不用意に近づきすぎないことを信条にしていた大学1年の春、僕は秋好寿乃に出会った。空気の読めない発言を連発し、周囲から浮いていて、けれど誰よりも純粋だった彼女。秋吉の理想と情熱に感化され、僕たちは二人で「モアイ」という秘密結社を結成した。

 

それから3年。

あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういない。僕の心には、彼女がついた嘘が棘のように刺さっていた。

 

「僕が、秋好が残した嘘を、本当に変える」

それは僕にとって、世間への叛逆を意味していた━━。

 

『青くて痛くて脆い』は大学生の物語です。主人公である田端楓は秋好寿乃と共に「なりたい自分を目指す、小規模な勢力」としてモアイを作り上げます。そのモアイと言う理想が楓を物語に引き込む契機となるのです。

 

「あの時将来の夢を語り合った秋好はもういない」「秋好が残した嘘」など、非常に気になるような、邪推が捗ってしまうフレーズが散りばめられたあらすじに、楽しみを抑え切れませんね。

 

そして面白いのが、タイトルと登場人物の関係性です。主人公の田端楓は「不用意に人に近づかない」ことを信条にしており、一方「周囲から浮いている」秋好寿乃。楓には「痛くて」が、寿乃には「青くて」が当てはまるように思えますね。

 

では「脆くて」は一体何を指すのでしょうか?それこそが本作を読み進めていくうちに、読者が、主人公が気づいていくことなのではないでしょうか。いずれも読者の想像力を刺激する楽しみな作品になっています。

 

 

青春が終わる。多くの人が抱いたであろう感情がテーマ

正直、僕は住野よる作品の中では『君の膵臓を食べたい』 の方が感情を揺さぶられました。それは、だから今作が劣っていると言うわけではありません。ただそれだけ今作は現実的なんだと思います。

 

楓の思考は大学1年生くらいならちょうど陥りそうな個性ですし、のちに出てくる登場人物も皆大学生の時にこう言う人いたなと思わせるような人ばかりでした。等身大の大学生達が本当にリアルに書かれているんですよね、この作品。

 

モアイも実際にある似たような団体がモデルとなっていると作者からの言及がありますし、理想を追い求める作品でありながら、地盤はしっかりとリアリティで固められているのは住野よる氏のさすがの技術と言うところではないでしょうか。

 

この「そう言う人いたな」から生まれる「背中がむずかゆい程身近に起こりうる痛み」だからこそ人の死に直面した時のような衝撃はなく、じわじわと、確実に読者の過去を精査して攻撃してくるような、そんな作品なんだと思います。

 

とはいえ作者本人が「主人公には幸せになって欲しい」と語っていることから、心を痛めすぎて読む作品と言うわけではないことがわかるので、安心してまずは読んでみるといいかもしれません。

 

 

 

 

 

この春、新しく読書を始めるきっかけになればと思います。

『青くて痛くて脆い』の読書感想でした。いかがだったでしょうか。

 

実は私は住野よる作品は『君の膵臓をたべたい』を始め『また、同じ夢を見ていた』、『か「」く「」し「」ご「」と「』などソフトカバーの幾らかの本を読んでいるのですが、どれも読みやすくオススメできる作品です。

 

機会があればもう1度全て読み返してブログに書かせていただこうかなと思っております。みなさんの読書のすすめにもなれば良いですし、単純に自分が読んだ本の記憶のストックな側面もあるので、ぜひお付き合いください。

 

それでは本日はここら辺で。星月まふゆでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

「最近、やっと気づいたんだ。俺達は、あいつらを軽薄な奴らだ、痛い奴らだって言ってレッテルを貼って、馬鹿にしてる。そりゃ気に入らねえところもあるよ、ああいう奴らに。でも、俺らもあいつらと変わらねえくらいずるいじゃん」私はこの一文が好きです。

 

大学生と言う期間は、もしかしたらまだ自分の所属以外を認めて尊重するのは難しいのかもしれません。私も大学生の時は他人を赦す心が今よりも小さかったと思います。卒業する年の今だからこそ、この一文の意味が深く心に刺さるようになりました。もしかすると、私は少し大人になれたのでしょうか。